「先進テクノロジのハイプ・サイクル:2018年」に出てくる用語をざっくり解説

ガートナーより技術トレンドを紹介する「先進テクノロジのハイプ・サイクル:2018年」が発表されました。

大きなポイントは次の5つ。

  • AIの民主化
  • エコシステムのデジタル化
  • DIY (自己流) バイオハッキング
  • 透過的なイマーシブ・スペース
  • ユビキタスなインフラストラクチャ

これらのポイントや、ハイプ・サイクルの中から気になるテクノロジーを紹介します。


イマーシブ・スペース

直訳すると「没入空間」。VR的な空間に没入するというわけではなく、人間の生活空間に相互に通信し合う高度なデバイスが張り巡らされ、人間は自身に最適化されたデバイス郡の中に没入していくといったイメージのようです。

スマートダスト

超小型の賢いセンサー。(ロボット的な側面もあると思います)

DARPAも極小ロボットの開発支援を始めています。イマーシブ・スペースとも関連するのだと思いますが、これらの超小型ロボットが人間の生活を体内外からサポートするのでしょう。

4Dプリンティング

全く知りませんでした。

昨年のハイプ・サイクルですでに登場している技術でした。時間の経過や周囲の環境に応じて形状を変えるオブジェクトを造形することを目指す技術だそうです。

現在の3Dプリンタは形状記憶素材などを除けばその形状を一定条件で変えるといったプログラマブルな要素は含んでいません。4Dプリンタはそこを変えようとしてるようです。これもイマーシブ・スペースにつながる技術でしょう。

4Dプリンティングはこちらの記事も詳しいです。

ニューロモルフィック・ハードウェア

これも初耳。そして昨年のハイプ・サイクルにも登場しています。こちらは調査中。ニューロンの動きを真似た何かしらだと思いますが…。

バイオチップ

DNAなどを並べて固定化した基板。これを使うと細胞内の遺伝子の状況などが把握しやすくなり、現状では創薬などの分野で活用されているそうです。

ソフトウェア開発で考えるとデバッグツールのようなもの。だとするとこういった技術が安価に使いやすくなると、arduinoがハードウェア開発の最初のハードルを下げたように、個人レベルで遺伝子改造ができるのかもしれません。(倫理面での課題もあると思いますが)

デジタルツイン

物理空間で実際に動作する機材や重機の動きを、バーチャル空間内で正確に再現する仕組み。3DCADのソフトウェアなどでも強度テストをバーチャルに行える様になっていますが、試作品にセンサーなどを取り付けて動作させ、その結果をシミュレーションに反映させて精度を上げることで開発上の様々なトラブルを防ぐことができます。

自動車開発において、何回も車を破壊しないと取れなかったデータを最小限の破壊で収集でき結果として開発コストを削減できる、そういった効果が期待できます。

デジタルツインはハイプ・サイクルのピークに位置づけられています。つまりこれから幻滅期に入ることが予測される技術。「再現精度が意外と低い」「再現精度を上げようとすると演算能力が必要になり結果として金銭コストがかかる」そういった現場の声が出てくるのでしょうか。


次から次へと新しい用語(もしくは再定義された用語)が出てきますが、大きな流れは、

  • 高度な技術の導入コストを下げる
  • 日々の煩雑な作業を簡略化し、人間しかできないことに専念できる状況を作る
  • ムダを減らす

こういった単純なベクトルに乗って動いているのだと思います。